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『五星戦隊 ダイレンジャー』~13. カッ カブキ小僧~

simadatuki
2020/08/09 23:02


最初から https://monappy.jp/memo_logs/view/simadatuki/2313 前回から https://monappy.jp/memo_logs/view/simadatuki/4741

 

1993~1994年公開(日本) 監督、小林義明・坂本太郎・小笠原猛・東條昭平・渡辺勝也 脚本、杉村升、荒川稔久、藤井邦夫、高久進、井上敏樹  

 地球侵略をもくろむ妖力使いゴーマ族と、気力を操るダイレンジャーが地球を守るために戦う。  ※ネタバレあり     

 十三話(最初から読む)。  次話と併せて、新たなキャラクター&重要アイテム登場となる話です

 銀行の警備員が突然、暴れてお金の入った袋を奪うところから始まります。

「あ、金、金が欲しいのじゃあ~!」

 どう聞いても役者本人ではない声で歌舞伎口調で話す警備員。  声優は千葉繁さんで、特徴的です。

 一方、亮は将児からお金をたかられています。「一万円でいいから貸してくれ」――これはひどい。先々週の漢気に溢れた将児はどこへ行ったんだ。一万円というけっこう大きいうえにリアルな数字がダイレンジャーらしいです。「だーめ」と断る亮はしっかりしています。金の貸し借りは人間関係を壊しますからね。  そんな二人のもとに、お札が降ってきます。無我夢中で拾い集める将児。  陸橋の上から先ほどの警備員がお金をばらまいています。

 

「やめろ、何やってんだよ」(亮) 「何って金拾ってんだよ」(将児)

 

 こんなヒーローがあったものか。

 口にまでくわえてお金を集めている将児ですが、「返して下さい!」と迫られたらちゃんと返す辺りは偉いです。とっても残念そうな顔をしていましたが(笑)。

 亮と将児で警備員を追いつめると、頭の部分だけ歌舞伎の獅子姿に変わります。

 ここでテロップ「カッ カブキ小僧」

 

 警備員をゴーマと判断、バトルになります。転身し、相手を転ばし、剣を抜く二人。  しかしその時、突如飛んできた輪っか型武器(大輪剣)によって攻撃を遮られます。二人の前に姿を現す中国服の謎の老人。うさん臭すぎます。  首をコキコキ曲げながらダイレンジャーに「精進しろ」と説教。さらに煙草のパイプを投げつけ、姿を消します。 「この! じじい!」じじいなんて言葉が飛び出す、教育によろしくない子供向け番組です(笑)。

 本部で事の顛末を説明する二人。将児がつなぎの肩掛けの部分を両手で持っているのが何か面白いです。 「変なじじいでよ~」ここでも、じじい呼ばわりです。将児はともかく、亮までこの口の悪さ……! 「首をこうする(コキコキジェスチャー)」という説明で、何やらピンときた様子のリン。「本当に、首をこうするの?(コキコキジェスチャー)」真剣な顔で真似をするリンが笑えます。  走り出すリン。リンを追いかけると、マンションへ入っていきます。

 

「ここはリンのマンションじゃねえか。どういうことだ」

 

 亮、何でお前はリンのマンションを知っているんだ。本当にどういうことだよ。

 部屋に駆け込むリンを追いかけて、当たり前のようにあがり込む男四人。部屋を眺めまわしながら「ビューティフル」とか感嘆の声が上がっているのが興味深いです。みんなさすがに部屋までは来たことがなかったようで。

 

「おじいちゃん! 来るなら来るって言ってよ!」

 

 リンの言葉にお構いなく、部屋を物色する「おじいちゃん」――先ほどの「じじい」。洗濯機の中からブラジャーを出したりとむちゃくちゃです。前回に引き続き、この演出も今の時代では無理だろうな~と思います。  目の前で知り合いの下着をさらされても特に大きな反応もなく、「このじいさん、本当にお前のおじいちゃんなのか!?」と訊く亮。そのうえ、とてもゆっくりした動作で恥ずかしがる様子もなくブラジャーを片づけるリン……どうなんだこれは。どういうことなんだこれは!! 

 老人はリンが中国でずっと一緒に暮らしていた相手ということです。本当の祖父ではなく、リンの祖母の弟らしいです。  リンは、道士が叔父だったりと、親戚がやたら出てきますが、直系の家族(両親祖父母)が出てこないのが気になります。そのうち何らかの形で関わらせるつもりだったか、何かの裏設定があるかするのかもしれません。  そして叔父の道士と大叔父のこの老人の血縁関係が気になります。親子なのか? と言えば、そうでもないし。リンの親戚はいろいろな意味で複雑です。

 中国人らしく、リンの部屋にはパンダのぬいぐるみが置いてあります。芸が細かいです。  一見、綺麗に片づけられた部屋ですが、クローゼットを開けたら大量の漫画雑誌が落ちてきたり。リンの実は大雑把らしい性格がわかります。リンの部屋のシーンはダイレンジャーの私生活が垣間見えて楽しいです。  みんなで雑誌をクローゼットに戻していきます。他のメンバーが本を揃えてまとめて戻そうとする中、将児だけ無造作に放り投げているところが個性的です。  そして唐突に背後に現れる道士。叔父だからってチャイムも鳴らさずに当たり前のように入るだなんて、道士ぃ……っ。

 

「みんな、紹介しよう。虞翻(グホン)先生だ」 「道士・カク。どうしてここへ」

 

 そりゃそうだ。 「先生から連絡があった」とのこと。リンの許可をもらう前に人を呼ぶなんて、大迷惑なおじいちゃんです。  さりげなく映る道士の足が裸足なのがよかったです。ちゃんと、靴を脱いで入ってきている。

 

「しばらく見んうちに、だいぶ貫禄が出てきたようじゃなあ、カク」

 

 そういわれて、照れる道士がすごく良いです。それにしても、6000年前から生きている道士にこの物言い……グホン先生とは何者なのでしょうか。私の記憶ではリンの大叔父以外にはっきりした出自は出てこなかった気がしますが……。  グホンは武道家の上に発明家とのこと。なんとダイレンジャーのオーラチェンジャーはグホンが発明したのだそうです。そういえば、オーラチェンジャーって具体的にどういうものなのだろう。当たり前のように使っていて説明も何もないけれど……。気力を増幅させて変身させる感じなのでしょうか。  大五まで一緒に笑って「ええ~~」と信じていない様子。反応がクソガキ過ぎて面白いです。  リビングに移動するとき、律儀に道士がスリッパをはいているところがナイスです。他のメンバーは裸足(靴下)なのも。

 

「じゃあ何であの時邪魔したんだよ」 「わしが止めなかったら、お前たちはあの男を死なせていたじゃろう」

 

 さりげなく恐ろしいことを言っています。警備員はゴーマ怪人「歌舞伎小僧」に操られていただけの一般人だというのです。か、歌舞伎小僧。もはや怪人ネームなのか何なのかわからない域です。  歌舞伎小僧は「人におんぶして姿を消し、その人間を自在に操る」のだそうです。妖怪みたいな設定ですね。憑りつかれているか見極める方法は、「憑りついた人間が芝居がかるかどうか」だと。なんだその微妙な見極め方は……。芝居がかる理由が「歌舞伎小僧は歌舞伎や京劇が大好きだから」というのもふざけています。  歌舞伎や京劇が好きで、歌舞伎小僧というところから考えて、やはり怪人体は後天的な修行で身に着けたものだと考えられます。ハンターハンターの念のように、自分が思い入れのあるものや希望したものに基づいて能力を身に着けているのではないかと。

 グホンは、歌舞伎小僧を殺さずに生け捕りにするように指示します。そのときの道士の「生け捕り? 殺さずにですか?」という反応がダイレクトすぎます。毎回、怪人は倒されているのはわかっていたけど、そんなはっきり殺していると台詞にしなくても(´;ω;`)  ダイレンジャーたちはとりあえず解散します。「生け捕り」に不満を持つメンバー。彼らも闘いに毒されている!

 リンと二人きりになったグホン。新しい発明品を見せたりと、和やかなムードです。亮&将児に投げた武器・大輪剣も改めて出てきます(包丁としてな!)。  ここでリンの物騒な台詞が。

 

「ねえ、どうして歌舞伎小僧を生け捕りにするの? 殺しちゃえばいいじゃない」

 

 日常会話のようなトーンで、何つーことを。  変な爺さんとして出てきましたが、「こらこら」とたしなめるグホンのほうがまともにみえます。

 

「わしはカクの頼みでお前を日本にやったが、本当は危険なことはしてほしくないんじゃ」

 

 それはそうでしょうね。リン、愛されていますね。  わざわざ頼んでまでリンをメンバーに入れるくらいなので、素質はかなり高いのでしょう。

 

「ちゃんと大学には行っておるのか?」 「あったりまえじゃん。大学、すっごく面白いもん」

 

 こういう日常会話があるとホッとします。第五話あたりだとまだうまくなじめていない様子でしたが、今は楽しんでいるみたいで何よりです。たぶん恵さんとも友達になれたのでしょう。

 ところ変わって。どこかの野外ステージ。後ろにはゴーマの謎の球体が浮かんでいます。  ステージに現れる歌舞伎小僧(怪人体)。歌舞伎調の長い名乗りを我慢して聞き、一応拍手も送っている三幹部が優しいです。  歌舞伎小僧、顔がやたらでかいのに目の動きや口の動きがリアルなのがアンバランスでよく見ると怖いです。しゃべり方がコミカルなのでホラー感はありませんが。

 

「シャダム、ガラ、ザイドスぅ~」

 

 と芝居がかった口調で話しかけられ、それぞれに精一杯の愛想笑いをする姿が何とも言えません(こいつも呼び捨て!)。ザイドスは拍手も送っています。仕事仲間との関係を円滑に保とうとする努力があちこちに感じられる点が涙ぐましいです。冷酷だけでやっていけるほど、悪の世界も甘くはないのだというメッセージを感じます。

 拍手をしながらも、「相変わらず気取りやがって」と陰口を言うザイドス。そんなリアルな本音と建前を見せないでくれ(いい笑顔なので悪口じゃなくて軽口かもしれませんが)。ていうか、今回、初ともいえるザイドスセンターです。歌舞伎小僧への応答もザイドスがしているところを見ると、今回は彼が作戦を任されている模様。 「相手が人間ならダイレンジャーも手が出せない」と作戦のコンセプトを確認する歌舞伎小僧。これも長々とした歌舞伎口調です。あからさまではないものの冷めた態度で眺める三幹部がシュールです。

 

「ところで歌舞伎小僧!」

 

 そこそこのところで遮って話しかけるシャダム。「老道士・グホンがお前を追って日本へ来ている。一体どういうわけだ?」。身を乗り出して柵にもたれるのが妙になれなれしく相変わらずチンピラ臭くて面白いです。

 

「ゴーマに背いて、中国で勝手な真似してきたんじゃないでしょうね」(ガラ)

 

 歌舞伎小僧編のガラは、何か口調が女性らしくて可愛らしいです。回によって女性っぽくなったり宝塚の男役みたいになったりとキャラのふり幅が広いところも彼女の魅力です。  三幹部の態度は、歌舞伎小僧とは(表面上かもしれませんが)そこそこに仲が良いというか、ゆるいというか、そういう雰囲気があります。

 CM明け。  工事現場の作業員に憑りつき、工具を武器に暴れまわる歌舞伎小僧。交番の壁に穴を開けようとしたり、ゴーマのやることは相変わらずみみっちいです。  作業員の次は警察官に乗り移ります。かと思えば、自転車に金的をぶつけて憑依が解けます。やたらと金的ネタが好きなダイレンジャー。  次は蕎麦屋に憑りつき自転車で走り回ります。自転車ネタも大好きなダイレンジャー。  歌舞伎小僧を発見したダイレンジャーメンバーは凶行を止めようとします。

 

「知らざあ言って聞かせやしょう。ゴーマ界にかくれもねえ、歌舞伎小僧とは俺のことだぁ」 「ふざけんなこの野郎!」

 

 めいいっぱい格好良く名乗るのに、「ふざけんな」の一言で一蹴されるのがちょっと可哀想です。  歌舞伎小僧はハイテンションでいいキャラをしています。楽しんで作られたんだろうなーと想像できてこちらも気持ちが明るくなります。

 歌舞伎小僧を追いかける先で、拳銃強盗が起きているビルにたどり着きます。「さっきからバンバン撃っちゃって、すごいのなんのって」笑いながら説明する野次馬がブラックです。  それどころか、「すげえ! なあなあちょっと見て行こうぜ!」と喜ぶ将児! お前はそれでも正義のヒーローなのか!?  その流れで強盗犯人を追いかけることになった将児と亮。他のメンバーとも合流します。  犯人を屋上まで追い詰めると、獅子頭に変化。歌舞伎小僧が憑りついていたのでした。発砲されそうになり、気力転身するダイレンジャーたち。どうやら生身だと撃たれるとヤバいが、スーツ姿だと大丈夫なようです。  容赦なくソードを抜くテンマレンジャー(将児)を止めるリュウレンジャー(亮)。

 

「怪我をさせるな。押さえつけて背中から歌舞伎小僧を引きはがすんだ」 「そんなのやりにくいぜ」

 

 この回、将児が輪をかけてDQNだぞ……!  倫理観を説くわけでもなく「任せろ!」と走るところが亮の偉いところです。  何とか屋上の隅まで追い詰めることに成功します。

 

「それ以上近づいたら、飛び降りるぞ!」

 

 重度のメンヘラのようなことを言ってダイレンジャーの追及から逃れようとする歌舞伎小僧。  そこに唐突に現れるグホン。「かまわん、強盗犯人を突き落とすんじゃ」。ヒェーッ!  生け捕りにしろと言ったり突き落とせと言ったりと主張が変わる、しかもその理由は説明しない……さすがは道士・カクの先生です。  戸惑うダイレンジャーに、「お前たちができないなら、わしがやる」と言い放つグホン。そして本当に突き落としてしまいます。

 ヒーロー側が一般人をビルの屋上から突き落とす。こんな展開が他の戦隊シリーズであったでしょうか?  メンバーが確認に行くと、犯人はこと切れていました。

 あまりのことに泣き出すリン。何も泣かなくても……いやおじいちゃんが人殺しになったら、泣くか?

「ゴーマの怪人を追っていたダイレンジャーに、とんでもないことが起きた。果たして、ダイレンジャーは殺人犯になってしまうのか?」

 

 やってくるパトカーをバックに流れるナレーション。何なんだこれは。

 とてつもなく深刻な内容なのに笑いがこみ上げてしまいます。

 それにしても、ゴーマ怪人も人間のはずですが、殺してもいいという価値観は闇が深いです。兵士と一般人の違い、ということなのでしょうが、そこがまた生々しい大人の世界です。

 

「五人は呆然と、たたずむばかりだった」

   

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