メモログ

アセチレンランプを運用する(試験&インシデントレポート)

nolf7984
2020/03/22 00:18


アセチレンランプを外に持ち出して運用したいので、アセチレンランプがどんな挙動をするか知っておく必要がある。
そのため、何個かサンプリングして燃焼試験を行う。

体感として、このブツはガスの発生方法が現象としてややこしい個液間の反応を経由しているので
「多分一筋縄じゃいかんだろうな・・・」という予感もあった。結果として、この予感は当たることになる。

まず、φ30、最厚部の厚みt=9くらいの小片を試してみる。
(半径15mm、高さ4.5mmの円錐を二個くっつけたとして、ざっくり2120mm^3 = 2.1 cc)





このサイズだと、缶内にポツンと一個のカーバイドがあるような感覚になる。
缶の寸法は外形でφ72mm、内径でφ65mm、深さ78mmであるため、258cc程。
全体の1%程度なのだからまぁ小さくも感じるだろう。



なお、プラのコップは缶の清掃が面倒なので、どうにか使い捨ての容器を差し込めないかと試したモノ。
入れは出来ても抜くのに難儀し、熱変形も見られ多少こぼれて汚れたたため、もう少しいい方法を考えたい。

その後、上部の水調整弁を45°程度ひねり、水の流出を始める。
おおよそ30分程度燃焼が続いたあと、ゆっくりと(10~15分くらい?)火が小さくなっていき燃焼は終わった。

こちらは反応後の様子。
白いのはカーバイドのアセチレン生成の反応(CaC2 + 2 H2O → Ca(OH)2 + C2H2)で出てくる、消石灰(Ca(OH)2)成分である。
2007年までの小学校では白線を引くのに使われていたアレ。 乾燥剤として使われるCaOに水を加えて発熱した後にできるもの、という解釈でも良い。
※ 良い子はマネしないこと





原則として校庭でよく見た石灰だが、強い硫黄系の腐敗臭がする。また、黄色い浮遊物や、なんだか由来のわからないゴミも散見される。
カップも抜きづらく、かつ熱変形しているのでこれは微妙だなぁと思いつつも、掃除は楽なので改善を考えたい。


さて、1h程度で反応が終わったのは確認できたが、実際に灯火器としてサイトで使うとなると
さすがに1hでは物足りない。4hかそのくらいは持ってほしい。
ということで、ちょっと大きい破片を放り込んでみる。






φ40,t=20程。16.7cc程度。
全体の7%くらいまで行くと結構な「圧」を感じる。



前回と同じく水調整弁を45°程度ひねり水の滴下を開始。
今回は前回と比べて石が大きかったため、カップは使わずに洗浄を前提での運用とした。

20分程度の時点までは普段通りに火が踊っていたものの、その後急に火が弱くなる。
さすがになくなるのが早いな?と思っていたところ、缶の室内から強いジュウジュウという音が聞こえてきた。

「あっ、これ水が水のまま溜まって、今一気に反応した奴だ」とその瞬間直感し、取り急ぎ窓を開けた。
みるみるうちにガスはリフレクタへ触れる程に高く上がり、黄色い燐光は青い炎に変わり、リフレクタから強烈な輻射熱を感じるようになった。
リフレクタは普段から触れない程度には熱くなるが、普段はちょっと熱いな程度の缶本体も触れない程熱くなり、上にある水室からも湯気が上がっていた。
木製の持ち手だけ掴んで窓際へ行き、ヤカンの様に湯気を上げる本体を部屋の外へ出す。
火口からは高音のガスの流出音が響き、水室へのガスの逆流もゴボゴボという音で確認できた。
アセチレンガスが完全燃焼し、本領である高温を見事に発揮している。

ここで問題となるのは、どのような対応を取れば沈火するか、という点である。
単純な構造だけに、これを止めれば収まる、というモノがあまり多くない。

水調整弁を閉じれば反応は止まるが、すでに水は大量に入っており今更止めてもという状態である。
また、水室への逆流による「圧抜き」が出来なくなり、ガスの速度が上がったため、ほんの少しだけ開けておくことにした。
吹き消すのも試みたが、閉じたリフレクタ内へ息を吹き込むのは無理であるし、未燃ガスの垂れ流しも避けたい。
当然、カーバイドの性質を考えると水をかけるのはNG。

そうなると、嵐が過ぎるのを待つように、内部の水が反応しきるのを待って、ガスが出切るのを待つよりない。
窓際でアセチレンランプを持ち、
「この輻射熱で火災報知機は反応しないか」
「圧力に負けて缶が破裂しないか」
「俺の手はやけどしないか」
「部屋借りるときの損害賠償保険幾らまでだったっけ?」
などと考えて3分程地蔵になっていたところ、ガスの流出音が少しづつ弱くなっていくのを感じた。

その時、ゆるやかにアセチレンガスを出す水入れ口からも「ボッ」と火が起きた。逆流ガスへの着火が起きたようだ。
火炎が成長する前に、急ぎ水栓を完全に閉める。
流出音を聞く限り缶の圧は低下傾向にあって、どこからもきしみ音がしなかったため、これなら缶の強度は持つなという判断の下実施した。
閉めた直後はまたガスの流出音は強くなったが、その後はまた緩やかな低下傾向に戻った。

そのまま更に2~3分放置すると元の小さな炎に戻った。
その時には、前にはなかった溶接のような青焼けが確認できた。



まだ未反応の水があってはたまらないので、念のためガラガラ振ると火が少し大きくなったり小さくなったりしたが、そこから10分くらいの間に鎮火した。
水室から水をすべて抜いてから、缶内の残渣を取り出す。(写真には撮っていないが、缶の7割以上はモコモコの成長した石灰で埋まっていた)



反応は9割方終わっていたが、左下の大きい欠片はまだ堅かったので別で分けて密閉容器に入れ、
残りは水をかけてアセチレンを出し切った後、燃えるゴミとしてまとめて捨てた。

具体的な事例の研究は別として、とりあえずの注意点として
「デカい欠片をそのまま使わない事」
「水に見合わない小さい火には注意すること」

を入れておくこととする。

・缶の底面に敷かれている様な配置でないと、盛り上がった石灰に未反応のカーバイドが持ち上げられて、水と接触せず残る。
 →缶内にあるスプリングは、水の流出口の閉塞を防ぐだけでなく、カーバイドを抑えるために使うべき?
  →逆に、このスプリングで抑えられる程度のモノ(厚み10mm程度のストローク)しか入れるべきではない?
   →そうなるとアセチレンカーバイドってクッソ堅いけど、この『石』を自分は割らなきゃいけないのか?
などと色々と疑問は出てくるが、とりあえずは火傷しなかったことに安堵するばかりである。



イヤ、マジでアブなかった。
同じ事をやらかす人が出ないことを祈る。
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